AMD Ryzen AI 9 HX 370は、AMDが提供するZen 5搭載のハイエンドモバイルCPU(APU)です。
内蔵 GPU の Radeon 890M で、Blender の EEVEE のプレビューや DaVinci Resolve の軽い編集がディスクリート GPU なしでできます。
12コアCPU・RDNA 3.5内蔵GPU・50 TOPS NPUを1チップに統合した次世代モバイルプロセッサとして、AI PCの分野で注目度がさらに上がっています。
AMD Ryzen AI 9 HX 370とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | AMD Ryzen AI 9 HX 370 |
| メーカー | AMD(米国) |
| カテゴリ | ハードウェア / モバイルCPU(APU) |
| アーキテクチャ | Zen 5 + Zen 5c(CPU)/ RDNA 3.5(GPU)/ XDNA 2(NPU) |
| コア/スレッド | 12コア / 24スレッド(4×Zen 5 + 8×Zen 5c) |
| 内蔵GPU | Radeon 890M(RDNA 3.5) |
| NPU | XDNA 2(50 TOPS) |
| 公式サイト | amd.com |
AMD Ryzen AI 9 HX 370は、2024年7月に発売されたモバイル向けハイエンドAPUです。高性能Zen 5コア(4基)と高効率Zen 5cコア(8基)のハイブリッド構成で、電力効率と性能を両立しています。
Radeon 890M内蔵GPUはRDNA 3.5アーキテクチャを搭載し、軽量な3DCGプレビューやAI画像生成のローカル処理にも対応します。50 TOPSのXDNA 2 NPUにより、Windows Copilot+対応のAI PCとして位置付けられています(2026年9月現在)。
料金プラン・ライセンス形態
AMD Ryzen AI 9 HX 370はノートPC搭載プロセッサで、搭載PC本体として購入します(2026年9月現在)。
| 搭載モデル例 | 価格帯 | カテゴリ |
|---|---|---|
| ASUS Zenbook S 16 | — | 薄型プレミアムノート |
| ASUS ProArt PX13 | — | クリエイター向けノート |
動作環境・システム要件
| 項目 | エントリー構成 | ハイエンド構成 |
|---|---|---|
| OS | Windows 11 | Windows 11(Copilot+対応) |
| メモリ | 16GB LPDDR5x | 32GB LPDDR5x-7500 |
| ストレージ | 512GB NVMe SSD | 1TB NVMe SSD(PCIe 4.0) |
| ディスプレイ | 14インチ FHD+ | 16インチ 3K OLED |
| 外部GPU | なし(内蔵GPU) | GeForce RTX 4060 Laptop(一部モデル) |
実務上のポイントとして、内蔵GPU(Radeon 890M)は軽量な3DCGプレビューや映像編集のハードウェアアクセラレーションに対応しますが、本格的なGPUレンダリングにはディスクリートGPU搭載モデルの選択が推奨されます。32GBのLPDDR5xメモリはオンボード固定のため、購入時のメモリ容量選択が重要です。
AMD Ryzen AI 9 HX 370の4つの特徴
1. 50 TOPS NPUによるオンデバイスAI処理
XDNA 2アーキテクチャの50 TOPS NPUにより、AI推論処理をCPUやGPUに負荷をかけずにローカル実行でき、Windows Copilot+のAI機能にも対応します。
2. Zen 5 + Zen 5cハイブリッド構成
高性能Zen 5コア(4基)と高効率Zen 5cコア(8基)のハイブリッド構成により、高負荷時のパフォーマンスとバッテリー駆動時の電力効率を両立しています。Intel Core Ultra(P+Eコア構成)と同様のアプローチですが、Zen 5のIPC優位性により効率面で有利です。
3. Radeon 890M内蔵GPUの性能
RDNA 3.5アーキテクチャの内蔵GPU・Radeon 890Mにより、BlenderのEEVEEリアルタイムプレビューやDaVinci Resolveの軽量編集がディスクリートGPUなしで可能であり、薄型ノートPCでもクリエイティブ作業の基本的なGPU処理に対応します。
4. LPDDR5x対応の高帯域メモリ
LPDDR5x-7500に対応しており、メモリ帯域がDDR5-5600と比較して大幅に向上しています。内蔵GPUはメインメモリをVRAMとして共有するため、メモリ帯域の向上がそのままGPU性能の向上に繋がります。高帯域メモリにより、内蔵GPUの実効性能が最大化されます。
AMD Ryzen AI 9 HX 370を編集部が使ってみました
AMD Ryzen AI 9 HX 370は、編集部がPERSCのモバイルクリエイティブ環境として検証した製品です。内蔵GPU(Radeon 890M)でBlenderのEEVEEプレビューが動作し、外出先での軽量な3DCG確認作業が可能でした。50 TOPSのNPUはAI処理のローカル実行で効果を発揮します。
コスト面では、価格は搭載ノートPCのメーカー・構成により異なります。本格的なGPUレンダリングにはディスクリートGPU搭載モデルが必要です。
制約として、内蔵GPUではCUDAベースのGPUレンダラーは使用できず、3DCGの本格的なレンダリングは困難です。また、メモリがオンボード固定のため、購入後の増設ができません。モバイルでの軽作業・プレビュー・AI処理がメイン用途であり、メインワークステーションの代替としては力不足です。
モバイル環境でAI処理と軽量クリエイティブ作業を行いたいユーザーに向いたモバイルCPUです。
AMD Ryzen AI 9 HX 370の良い点・気になる点(編集部のまとめ)
良い点
- 50 TOPSのNPUにより、AI処理がCPU・GPUの負荷なくローカルで実行でき、バッテリー消費も抑えられると評価されています。
- Radeon 890M内蔵GPUの3D性能が内蔵としては非常に高く、軽量なクリエイティブ作業に対応できると支持されています。
- 薄型ノートPCに搭載されるため、モバイル性を重視するクリエイターに歓迎されています。
- バッテリー駆動時の電力効率がZen 5cコアで改善され、外出先での長時間作業が可能になったとの報告があります。
気になる点
- 内蔵GPUではCUDAベースのGPUレンダラーが使用できず、本格的な3DCG作業には不向きとの指摘があります。
- メモリがオンボード固定で購入後の増設ができないため、初期構成の選択が重要との声が挙がります。
- ディスクリートGPU搭載モデルと比較してGPU性能で大きく劣り、モバイルワークステーションの代替にはならないとの意見があります。
まとめ
AMD Ryzen AI 9 HX 370は、AMDが提供するZen 5搭載のハイエンドモバイルAPUです。50 TOPS NPUのオンデバイスAI処理・Zen 5 + Zen 5cハイブリッド構成・Radeon 890M内蔵GPU・LPDDR5x高帯域メモリを特徴としています。
12コアCPU・Radeon 890M・50 TOPS NPUを1チップにまとめており、モバイル環境でAI処理と軽量クリエイティブ作業を行いたいユーザーに向きます。