BIM(建物の情報モデル)の導入は、設計の生産性とプレゼン・申請の質を大きく左右します。この記事では、法人・設計事務所の導入を想定し、主要なBIMソフトを編集部が選び方・4軸スコア・料金・対応分野・互換性の観点で比較し、強みだけでなく短所も含めて整理しました(2026年9月現在)。
海外製から国産まで含めて、自社の規模・分野・既存環境に合う1本を選べるよう掘り下げます。
BIMソフトとは
BIM(Building Information Modeling)ソフトとは、3Dの建物モデルに寸法・部材・数量などの情報を持たせ、設計・積算・施工・維持管理まで一貫して活用するためのソフトです。図面を描くCADに対し、モデルから図面・数量・パースを自動生成できるのが特徴です。
失敗しないBIMソフトの選び方
- 対応分野で選ぶ(最重要):意匠・構造・設備を統合するならRevit、意匠中心ならARCHICAD/Vectorworks、木造住宅ならARCHITREND。
- 規模で選ぶ:大規模・多分野連携はRevit、住宅はARCHITREND、国内の非住宅・中大規模はGLOOBE。
- 国内基準・申請で選ぶ:確認申請・法規対応を重視するならGLOOBE/ARCHITREND。
- 既存環境・人材で選ぶ:協力会社や採用市場で多いソフトに合わせると教育・連携が楽です。IFC連携の可否も確認します。
- 対応OS:MacならARCHICAD/Vectorworks(Revit・ARCHITREND・GLOOBEはWindowsのみ)。
評価方法
編集部が各製品の公式情報と実使用にもとづく情報をもとに、法人の建築設計の観点から「使いやすさ・機能・サポート・コストパフォーマンス」の4軸(各5点)で評価し、相対比較しました。物理的なラボ検証ではなく実務目線の編集部評価です。料金は2026年9月の各社公式を確認しています。
主要BIMソフト 比較一覧(4軸スコア+料金)
| ソフト | 総合 | 使いやすさ | 機能 | サポート | コスパ | 主な分野 | 対応OS | 料金(入口) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ARCHICAD | ★4.0 | 3.8 | 4.4 | 4.2 | 3.7 | 意匠中心 | Win/Mac | 年額357,000円〜(税別) |
| Revit | ★3.9 | 3.3 | 4.6 | 4.4 | 3.4 | 意匠/構造/設備 | Windows | ¥517,000/年 |
| Vectorworks | ★3.8 | 3.7 | 4.2 | 4.0 | 3.6 | 意匠/デザイン | Win/Mac | 年額132,000円〜(税別) |
| ARCHITREND Zero | ★3.8 | 3.8 | 4.0 | 3.9 | 3.8 | 木造住宅 | Windows | 基本900,000円(税別・買い切り) |
| GLOOBE | ★3.6 | 3.6 | 3.8 | 3.6 | 3.6 | 非住宅・中大規模 | Windows | 購入780,000円 / 年額180,000円(税別) |
多分野連携・大規模ならRevit、意匠中心ならARCHICAD、木造住宅ならARCHITREND、国内基準重視ならGLOOBE が軸になります。以下、順位ごとに掘り下げます。
法人導入向けBIMソフト おすすめランキング
1位:ARCHICAD
意匠設計で世界的に定番のBIMが ARCHICAD です。使いやすさ3.8と操作性が高く、モデリングから図面・プレゼンまでスムーズで、Macにも対応します。中小から大手まで、意匠を中心に据える事務所で広く使われています。
強み
- 意匠設計に強く操作性が高い(使いやすさ3.8)
- 図面・プレゼンの自動生成がスムーズ
- Win/Mac両対応
弱み
- 構造・設備の統合ではRevitに譲る面がある
- 大規模の多分野連携は他社の方が実績が多い
- ライセンスは安価ではない
こんな人に:意匠設計を中心に、操作性とMac対応を重視する事務所。向かない人:構造・設備まで一元統合したい大規模組織。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Archicad Studio 年額357,000円〜 / Collaborate 年額420,000円〜(税別) |
| 提供形態 | サブスクリプション |
| 対応分野 | 意匠中心 |
| 対応OS | Windows / Mac |
| 日本語 | 対応 |
主な機能
- 意匠設計に強いBIM
- 操作性の高いモデリング
- 図面・プレゼンの自動生成
- Mac対応
2位:Revit
Autodesk製のBIM。意匠・構造・設備を統合でき、大規模・多分野連携と豊富な実績・人材を求める法人に向く
大規模・多分野連携を行う法人に向くのが Revit です。Autodesk製のBIMで、機能4.6・サポート4.4と高評価。意匠・構造・設備(MEP)を1つのプラットフォームで統合でき、大規模プロジェクトの多分野連携に強みがあります。実績・情報・人材が豊富で、教育や協業のしやすさも魅力です。
強み
- 意匠・構造・設備を統合できるBIM(機能4.6)
- IFC等による他社連携、図面・数量の自動生成
- 実績・情報・人材が豊富で採用・教育がしやすい
弱み
- ライセンスが高価でコスパは3.4
- 習得に時間がかかり運用ルールの整備が必要(使いやすさ3.3)
- Macに非対応
こんな人に:大規模・多分野連携を行う組織、人材の多いソフトで採用・教育を進めたい法人。向かない人:少人数で意匠中心、低コスト重視の事務所。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | ¥517,000/年(Autodesk公式サイトの表示) |
| 提供形態 | サブスクリプション |
| 対応分野 | 意匠・構造・設備(MEP) |
| 対応OS | Windows |
| 日本語 | 対応 |
主な機能
- 意匠・構造・設備の統合BIM
- IFC等による他社連携
- 図面・数量の自動生成
- 豊富なアドオン・ファミリ
3位:Vectorworks
意匠・デザインに強いCAD/BIMが Vectorworks です。機能4.2で表現力が高く、内外装・インテリア・ランドスケープにも対応し、Macで使える点もデザイン系事務所に支持されています。
強み
- 意匠・デザインの表現力が高い(機能4.2)
- ランドスケープ・インテリアまで対応
- 2D/3D/BIMを統合、Mac対応
弱み
- 大規模の多分野連携はRevit/ARCHICADに譲る
- 機能が広く習得に時間がかかる
- コスパは3.6
こんな人に:デザイン表現を重視する事務所、Macで設計したい人。向かない人:構造・設備統合や大規模連携が主目的の人。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 年額132,000円〜264,000円(税別。永続ライセンスは2026年末まで販売) |
| 提供形態 | サブスクリプション |
| 対応分野 | 意匠・デザイン |
| 対応OS | Windows / Mac |
| 日本語 | 対応 |
主な機能
- 意匠・デザイン向けCAD/BIM
- ランドスケープ・インテリア対応
- 2D/3D/BIMの統合
- Mac対応
4位:ARCHITREND Zero
木造住宅BIMの国産定番が ARCHITREND Zero です。福井コンピュータアーキテクト製で、確認申請・積算・構造・温熱との連携まで、日本の住宅設計フローに最適化されています。買い切りライセンスで提供されます。
強み
- 木造住宅の設計をプレゼンまで一気通貫
- 確認申請・積算・構造・温熱と連携
- 買い切りライセンスで導入できる
弱み
- 住宅設計特化で汎用性は低い
- 国際的な連携・情報量は海外製に劣る
- Windowsのみ
こんな人に:木造住宅・工務店の設計を一気通貫で行いたい事務所。向かない人:非住宅・大規模や多分野連携が中心の組織。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | ZERO基本 900,000円+オプション60,000円〜(税別・買い切り・構成による) |
| 提供形態 | 買い切りライセンス |
| 対応分野 | 住宅(木造軸組・2×4・S造・RC造) |
| 対応OS | Windows |
| 日本語 | 対応 |
主な機能
- 木造住宅のBIM設計
- 確認申請・積算連携
- 構造・温熱との連携
- 日本の住宅実務に最適化
5位:GLOOBE
日本の建築実務に対応した国産BIMが GLOOBE です。福井コンピュータアーキテクト製で、確認申請・法規対応など国内基準に沿った運用がしやすく、日本の設計事務所での導入に向きます。
強み
- 確認申請・法規対応など国内基準に沿う
- 図面・数量の生成に対応
- 国産で日本語サポートが受けやすい
弱み
- 海外製と比べ国際連携・情報量で差がある
- 採用市場での人材は海外製ソフトより少ない
- Windowsのみ
こんな人に:国内基準・確認申請対応を重視する事務所。向かない人:海外案件・国際標準での連携が中心の組織。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 購入780,000円 / 年額使用権180,000円(税別・GLOOBE Architect 基本) |
| 提供形態 | 買い切り(購入)/使用期限付(年額) |
| 対応分野 | 非住宅・中大規模建築 |
| 対応OS | Windows |
| 日本語 | 対応 |
主な機能
- 日本の建築実務に対応したBIM
- 確認申請・法規対応
- 図面・数量の生成
- 国内基準に沿った運用
その他のおすすめツール
ゼネコン・大規模で検討するなら ゼネコン・大規模設計向けBIMソフトおすすめ比較、中小事務所でCADと迷うなら 中小事務所のBIM・CAD比較、CADからの移行を含めて選ぶなら 建築CADソフトおすすめ比較ランキング2026 もご覧ください。構造特化ならTekla Structures、設備(MEP)ならRebroなども選択肢です。
タイプ別のおすすめ
- 大規模・多分野連携:Revit
- 意匠中心・操作性重視:ARCHICAD
- デザイン表現・Mac:Vectorworks
- 木造住宅・工務店:ARCHITREND Zero
- 国内基準・確認申請重視:GLOOBE
まとめ
法人のBIM導入では「分野」「規模」「国内基準対応」「既存環境・人材」を確かめます。多分野連携・大規模ならRevit、意匠中心ならARCHICAD、デザイン重視ならVectorworks、木造住宅ならARCHITREND Zero、国内基準重視ならGLOOBEが候補です。いずれも体験版や説明会があるので、自社の標準業務で検証してから導入するのが確実です。
出典:各ソフト公式サイト(Revit・ARCHICAD・Vectorworks・ARCHITREND Zero・GLOOBE)。料金は2026年9月時点・為替や構成により変動します。