Allplan(アルプラン)は、ドイツのALLPLAN Deutschland GmbH社(Nemetschek Group傘下)が提供する統合BIMソフトです。
建築設計から土木・橋梁・プリキャスト製造まで幅広い分野をカバーするBIMプラットフォームで、AI Assistant・クラウド連携・サステナビリティ統合などの機能を備えています。
ドイツ・欧州を中心に、建築・土木業界で広く採用されています。
Allplanとは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | ALLPLAN Deutschland GmbH(ドイツ・ミュンヘン / Nemetschek Group傘下) |
| カテゴリ | CAD / CADソフト(統合BIM) |
| 価格 | Basic $140/月 / Concept $241/月 / Professional $299/月 / Ultimate $404/月(年契約・税別、2026年9月現在) |
| 対応OS | Windows |
| 日本語対応 | 一部(UIは英語・ドイツ語中心) |
| 公式サイト | allplan.com |
Allplanは、ドイツ・ミュンヘンに本拠を置くALLPLAN Deutschland GmbHが開発する統合BIMソフトウェアです。ArchiCADのGraphisoftやVectorworksと同じNemetschek Group傘下で、同グループの中では建築・土木・インフラの統合BIMプラットフォームという位置づけです。2026年版ではAI Assistant、パラメトリックトンネル・橋梁モデリング、サステナビリティ統合など先進機能が多数追加されました。
Revit・ArchiCADと同じ建築BIMカテゴリに属しますが、Allplanの差別化要因は「建築+土木+プリキャスト製造」までを統合カバーする点です。Revitが建築・構造・設備の統合BIM、ArchiCADが意匠設計BIMに特化するのに対し、Allplanは橋梁・トンネル・道路・プリキャスト部材設計・鉄骨詳細設計(SDS2)まで包括的に提供します。ドイツ・欧州では非常に強いシェアを持ちますが、日本国内での利用はまだ限定的です。
料金プラン・ライセンス形態
Allplan 2026は4段階のサブスクリプションエディション構成で提供されています(2026年9月現在)。
| エディション | 月額料金 | 含まれるもの | 対象ユーザー |
|---|---|---|---|
| Basic | $140/月(年契約)・$210/月(月契約) | 2D作図・基本的な3Dモデリング・レンダリング・数量算出 | 個人・初学者 |
| Concept | $241/月(年契約)・$362/月(月契約) | 建築設計向けBIMモデリング・マルチマテリアルモデリング・インフラワークフロー | 初期設計・企画業務 |
| Professional | $299/月(年契約)・$449/月(月契約) | 配筋詳細の自動化・鉄骨接合部設計・道路/地形モデリング・パラメトリックモデリング | プロ設計者 |
| Ultimate | $404/月(年契約)・$606/月(月契約) | 高度な配筋自動化・解析対応ワークフロー・プレキャスト設計/詳細・パラメトリックプレストレス | 大規模プロジェクト・土木 |
| 無料トライアル | 14日間無料 | 全エディション(Civil・Precast含む)を利用可能(非商用) | 機能検証 |
Ultimate(年契約で月額$404)は高額ですが、建築+土木+プリキャスト製造までの統合機能を考慮すると相応の価値があります。建築のみの用途ならProfessional(年契約で月額$299)で十分です。別途、ALLPLAN Civil(土木特化)、ALLPLAN Precast(プリキャスト製造特化)、SDS2(鋼構造詳細)、SCIA(構造解析)などの専門ツールも用意されており、業務特化した組織向けの選択肢も豊富です。
動作環境・システム要件
Allplan 2026は大規模BIMプロジェクトに対応するため、比較的高いハードウェア要件を持ちます(2026年9月現在)。
| 項目 | 最小要件 | 推奨要件 |
|---|---|---|
| OS | Windows 11(バージョン24H2)/ Windows Server 2025・2022・2019 | Windows 11(バージョン24H2) |
| CPU | Intel / AMD Ryzenプロセッサー | Intel Core i5・i7・i9 / AMD Ryzen 5・7・9 |
| メモリ | 8GB | 32GB |
| GPU | OpenGL 4.2対応・VRAM 4GB(Redshift使用時8GB)・1920×1080 | Vulkan 1.2またはOpenGL 4.5対応・VRAM 16GB以上の認定グラフィックボード |
| ディスク | 空き容量20GB | SSD |
建築単体のBIMモデルなら最小要件で動作しますが、土木・インフラの大規模モデルや橋梁・トンネルなどのパラメトリックモデリングを行う場合は推奨要件以上のワークステーション環境が必須です。Revitと同様、業務レベルで本格的に運用するなら32GBメモリ・専用GPU搭載のCAD向けPCが適切です。
Allplanの5つの特徴
1. 建築・土木・プリキャスト統合BIM
Allplan最大の特徴は、建築設計だけでなく土木・インフラ・プリキャスト製造まで統合的にカバーする点です。Revitが建築・構造・設備、ArchiCADが意匠設計に特化するのに対し、Allplanはトンネル・橋梁・鉄骨詳細・プリキャスト部材設計まで1つのプラットフォームで対応できます。建築から土木インフラまで幅広い案件を扱う総合建設コンサルタントや大手ゼネコンにとって、統合BIMとしての価値が高いソフトです。
2. AI Assistant(2026新機能)
2026年版で新搭載されたAI AssistantはConnectプラットフォーム経由で利用でき、AllplanのワークフローガイダンスやAEC標準・ベストプラクティスに関する質問に答えます。設計作業の初心者に対する学習支援や、熟練者の業務効率化ツールとして機能します。AutoCAD・ArchiCAD・Vectorworksなど他の主要BIMソフトもAI機能を搭載する流れで、Allplanも同等の進化を遂げています。
3. パラメトリックトンネル・橋梁モデリング
2026版では、インフラ設計向けのパラメトリックトンネルモデリングが新搭載され、プリキャスト桁橋ソリューションも拡張されました。トンネルでは線形・断面・施工方法を統合したパラメトリック設計が可能で、プリキャスト桁橋では設計から施工まで最大70%の効率化を実現しています。これらのインフラ特化機能は、土木設計事務所・建設会社の業務を大きく変える可能性があります。
4. BIMPLUSクラウドとIFC対応
BIMPLUSはNemetschek Group共通のクラウドBIMプラットフォームで、AllplanユーザーがArchiCADやVectorworksとのデータ連携にも活用できます。新しいCloud Reference機能では、IFCファイルを直接Allplanに参照として挿入でき、共通データ環境(CDE)内での情報共有が強化されました。無料のALLPLAN Model Viewerでは、ブラウザベースでIFCビジュアライゼーションも可能です。
5. サステナビリティ統合
Preoptima CONCEPTとの連携により、設計初期段階から炭素排出量の評価が可能になりました。コンセプトのマスモデルをそのままPreoptimaにエクスポートし、運用時・ライフサイクル全体の炭素評価ができます。欧州では環境規制(EPDなど)への対応が業務上必須になりつつあり、Allplanのサステナビリティ統合はこの流れに先行する機能です。
Allplanについての編集部の見解
Allplanは、建築・土木・インフラを統合的にカバーする総合BIMプラットフォームとして独自のポジションを持ちます。Revit・ArchiCADが建築中心であるのに対し、Allplanはインフラ・プリキャスト・構造詳細まで包括する範囲の広さが最大の特徴です。
コスト面では、Ultimate(年契約で月額$404)は高額ですが、建築+土木+プリキャストの統合機能を別々に揃える場合と比較するとむしろ経済的です。Basic(年契約で月額$140)から始められる段階的なエディション構成も、小規模事務所から大規模プロジェクトまで柔軟に対応します。BIMPLUSによるクラウド共有も現代のBIMワークフローに必須の機能として標準搭載されています。
制約としては、日本国内での利用はまだ限定的で、代理店網・日本語サポート・教材・コミュニティが限られています。Revit・ArchiCAD・GLOOBE・ARCHITREND ZEROなど国内で既に普及しているBIMソフトと比較すると、日本市場での選択肢としての優先順位は高くありません。BIM確認申請制度の開始を機に、国産BIMやRevitが優先される傾向があります。
欧州との連携プロジェクトを持つ設計事務所、建築・土木・インフラを横断する総合建設コンサルタント、Nemetschek Group製品(ArchiCAD・Vectorworks)との連携を重視する組織にとって、Allplanは有力な選択肢です。グローバル展開する日本企業の海外拠点での採用事例も今後増える可能性があります。
Allplanの良い点・気になる点(編集部のまとめ)
良い点
- 建築から土木・インフラまで統合的にカバーする範囲の広さが、総合建設コンサルタントや大手ゼネコンから評価されています。
- パラメトリックトンネル・橋梁モデリング(2026新機能)がインフラ設計の効率化に大きく貢献しているという声が挙がります。
- Nemetschek Group共通のBIMPLUSクラウドにより、ArchiCADやVectorworksとの連携がスムーズで、グループ製品を使い分ける組織で重宝されています。
- サステナビリティ統合(Preoptima CONCEPT連携)が早期段階の環境評価を可能にし、欧州の環境規制対応に貢献しています。
気になる点
- 日本国内での代理店網・日本語サポート・教材が限定的で、国内ユーザーにとって導入ハードルが高いという指摘があります。
- 日本の建築基準法・確認申請への特化機能がなく、国内BIM用途ではGLOOBEやArchiCAD・Revitが優先されやすい声があります。
- Ultimate(年契約で月額$404)は高額で、土木・インフラを扱わない建築単体の事務所には費用対効果で疑問という意見が見られます。
まとめ
Allplanは、ドイツNemetschek Group傘下のALLPLAN Deutschland GmbHが提供する統合BIMプラットフォームです。建築・土木・インフラ・プリキャストまで幅広くカバーする範囲の広さと、AI Assistant・BIMPLUSクラウド・サステナビリティ統合などの先進機能により、総合建設プロジェクトのデジタル化を支える選択肢として重要な位置を占めています。
年契約で月額$140からの段階的料金は、小規模事務所から大規模プロジェクトまで幅広いニーズに対応します。日本国内での普及はまだ限定的ですが、欧州との連携プロジェクトや総合建設コンサルタントにとって、Allplanは統合BIMの有力な選択肢として検討価値のあるソフトウェアです。