建築・3DCGの大容量データを複数人で共有・バックアップしたい方に向けて、NAS(ネットワーク接続ストレージ)を比較しました(2026年9月現在)。使いやすさ・ベイ数・転送速度・コストで強みが分かれます。必要容量・人数・速度を見極めて選べるよう整理します。
制作データ向けNASとは
NAS(ネットワーク接続ストレージ)とは、ネットワークに接続して複数人・複数台で共有できるストレージ機器です。建築・3DCGの大容量データ(シーンファイル・テクスチャ・成果物)の共有、自動バックアップ、スナップショットによる世代管理を一元化できます。HDDを複数台搭載してRAIDで冗長化でき、ベイ数(HDD本数)で容量と冗長性が決まります。Synology・QNAPは使いやすいOSと豊富な機能、Buffaloは国産で国内サポートが強みです。
失敗しないNASの選び方
- ベイ数・容量(最重要):必要容量+冗長分でベイ数とHDD容量を決めます。少人数は4ベイ、余裕を持つなら5〜8ベイ。
- 使いやすさ(OS):シンプルに使うならSynology(DSM)、多機能・拡張性ならQNAP。
- 転送速度:大容量を頻繁にやり取りするなら10GbE対応。環境(スイッチ・PC)も対応が必要です。
- バックアップ機能:スナップショット・クラウド連携など、世代管理・二重化の機能を確認します。
- サポート・国産:国内保守を重視するならBuffaloなど、サポート体制を確認します。
- 拡張性:将来の容量増・拡張ユニット対応を見込んで選びます。
評価方法
編集部が各製品の公式情報と制作現場目線の実態をもとに、「使いやすさ(OS・設定・運用のしやすさ)・機能(性能・ベイ数・転送速度・バックアップ)・サポート(保証・サポート・信頼性)・コストパフォーマンス(価格に対する機能)」の4軸(各5点)で評価し、建築・3DCGのデータ共有・バックアップでの実用度を重視して相対比較しました。物理的なラボ検証ではなく実務目線の編集部評価です。仕様・価格は2026年9月の各製品の公式を確認しています。
制作データ向けNAS 比較一覧(4軸スコア+ベイ数)
| 製品 | 総合 | 使 | 機 | サ | コ | ベイ数 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Synology DS925+ | ★4.1 | 4.4 | 4.0 | 4.3 | 4.0 | 4ベイ | DSM・2.5GbE×2 |
| Synology DS1525+ | ★4.1 | 4.3 | 4.2 | 4.3 | 3.9 | 5ベイ | 2.5GbE×2・10GbE追加可 |
| Synology DS1823xs+ | ★4.1 | 4.0 | 4.5 | 4.3 | 3.6 | 8ベイ | 10GbE・ハイエンド |
| QNAP TS-464 | ★3.9 | 3.6 | 4.2 | 3.7 | 4.2 | 4ベイ | 拡張性・コスパ |
| QNAP TS-h886 | ★3.8 | 3.5 | 4.4 | 3.7 | 3.8 | 8ベイ | ZFS・エンタープライズ |
| ASUSTOR Lockerstor | ★3.8 | 3.7 | 4.0 | 3.6 | 3.9 | 多ベイ | マルチギガ・コスパ |
| Buffalo TeraStation | ★3.7 | 3.7 | 3.6 | 3.9 | 3.6 | 多ベイ | 国産・国内サポート |
使いやすさ・定番ならSynology、拡張性・多機能ならQNAP、国産・国内サポートならBuffalo が軸です。以下、順位ごとに掘り下げます。
制作データ向けNAS おすすめランキング
1位:Synology DS925+

DS923+の後継の4ベイNAS。4コア/8スレッドのRyzen V1500B、2.5GbE×2、M.2 NVMe×2を備え、拡張ユニットDX525で最大9ベイまで増やせます
初めての制作データ共有なら Synology DS925+ です。DS923+の後継の4ベイNASで、CPUは4コア/8スレッドのAMD Ryzen V1500B、LANは標準で2.5GbE×2です。管理はDS923+と同じDSMで行い、M.2 NVMe×2と4GB DDR4 ECCメモリ(最大32GB)を備えます(使いやすさ4.4)。
強み
- DS923+と同じDSMで管理できる(使いやすさ4.4)
- 標準で2.5GbE×2、CPUは4コア/8スレッド
- 保証は3年で、EW201で5年に延長できる(サポート4.3)
弱み
- 10GbEアップグレード用のスロットがなく、ネットワークは2.5GbEまで
- Synologyは日本で価格を公表しておらず、販売店ごとに価格を確かめる必要がある
こんな人に:使いやすさ重視で制作データ共有を始めたい人。向かない人:10GbEで運用したい人。
2位:Synology DS1525+

DS1522+の後継の5ベイNAS。4コア/8スレッドのCPUと8GB ECCメモリを備え、2.5GbE×2に加えてE10G22-T1-Miniで10GbEを追加できます
容量と冗長性に余裕を持つなら Synology DS1525+ です。DS1522+の後継の5ベイNASで、CPUは4コア/8スレッドのRyzen V1500B、メモリは8GB DDR4 ECC(最大32GB)です。LANは2.5GbE×2で、E10G22-T1-Miniを追加すると10GbEに対応します(機能4.2)。
強み
- 5ベイ+M.2 NVMe×2で、DX525×2をつなぐと最大15ベイ(機能4.2)
- 2.5GbE×2に加え、E10G22-T1-Miniで10GbEを追加できる
- 保証は3年で、EW201で5年に延長できる(サポート4.3)
弱み
- LANポートは1GbE×4から2.5GbE×2になり、ポート数が減った
- 拡張ユニットはUSB Type-C接続のDX525で、DS1522+のeSATAポートはない
こんな人に:少人数チームで余裕を持って運用したい現場。向かない人:最小構成で始めたい人。
3位:Synology DS1823xs+
大容量を高速共有なら Synology DS1823xs+ です。ハイエンド8ベイで10GbEに対応し、大容量の3DCG・映像データを快適に共有できます(機能4.5)。
強み
- 8ベイの大容量と10GbEの高速転送(機能4.5)
- 大容量3DCG・映像データの共有に最適
- DSMの完成度と安定性
弱み
- ハイエンドで価格は高め(コスパ3.6)
- 10GbE活用にはネットワーク機器の対応が必要
こんな人に:大容量データを高速にチーム共有したい現場。向かない人:少人数・小容量でコストを抑えたい人。
4位:QNAP TS-464
拡張性とコスパなら QNAP TS-464 です。4ベイでコストパフォーマンスと拡張性に優れ、仮想化やアプリの自由度が高いのが強みです。機能を使い込みたい人に向きます(コスパ4.2)。
強み
- 4ベイでコスパと拡張性に優れる(コスパ4.2)
- 仮想化・アプリの自由度が高い
- マルチギガ対応など機能が充実
弱み
- 多機能ぶん設定はSynologyより複雑(使いやすさ3.6)
- 使いこなしに知識が必要
こんな人に:拡張性・多機能を活かして使い込みたい人。向かない人:シンプルに共有・バックアップしたい初心者。
5位:QNAP TS-h886
業務のデータ基盤なら QNAP TS-h886 です。エンタープライズ向け8ベイで、ZFSベースの堅牢なデータ保護を備えます。大規模・業務のデータ基盤に向きます(機能4.4)。
強み
- ZFSベースの堅牢なデータ保護(機能4.4)
- エンタープライズ向け8ベイの容量・性能
- 業務利用の拡張性・信頼性
弱み
- 高機能で設定・運用に知識が必要(使いやすさ3.5)
- エンタープライズ向けで価格は高め
こんな人に:大規模・業務で堅牢なデータ基盤を組みたい現場。向かない人:手軽に運用したい個人・少人数。
6位:ASUSTOR Lockerstor
機能を価格よく備えるなら ASUSTOR Lockerstor です。ハイスペックを抑えた価格で、マルチギガビット対応など機能を価格よく備えたNASです(コスパ3.9)。
強み
- マルチギガ対応など機能を価格よく(コスパ3.9)
- ハイスペックを抑えた価格で導入
- ASUSグループの製品ラインナップ
弱み
- OS・エコシステムの完成度はSynology/QNAPに次ぐ
- 国内の情報・サポートは大手2社に譲る面も
こんな人に:機能を価格よく備えたNASを選びたい人。向かない人:OSの完成度・情報量を最優先する人。
7位:Buffalo TeraStation
国産・国内サポートなら Buffalo TeraStation です。国産バッファローの法人向けNASで、国内サポートと導入のしやすさが強みです。国内保守を重視する現場に向きます(サポート3.9)。
強み
- 国産で国内サポートが手厚い(サポート3.9)
- 法人向けの導入のしやすさ
- 国内調達・保守要件に合わせやすい
弱み
- 機能・拡張性はSynology/QNAPに譲る(機能3.6)
- アプリ・エコシステムは限定的
こんな人に:国産・国内サポートを重視する法人。向かない人:多機能・拡張性を求める人。
タイプ別おすすめ
- 使いやすさ・定番:Synology DS925+・DS1525+。DSMで運用が簡単です。
- 大容量・高速共有:Synology DS1823xs+・QNAP TS-h886。8ベイ・10GbE/ZFSに対応します。
- 拡張性・多機能:QNAP TS-464。仮想化・アプリの自由度が高いです。
- コスパ重視:ASUSTOR Lockerstor。機能を価格よく備えます。
- 国産・国内サポート:Buffalo TeraStation。国内保守を重視する現場に。
選ぶときの注意点
NASのRAIDは冗長化であってバックアップではありません。本体故障・災害・誤削除・ランサムウェアに備え、別メディアやクラウドへの二重バックアップ(3-2-1ルール)を組み合わせるのが安全です。必要容量は冗長分を見込んで多めに見積もり、将来の増設余地も考えておきましょう。10GbEの高速転送はNAS本体だけでなくスイッチ・PCのLANも対応している必要があります。HDDはNAS向けモデルを選ぶと信頼性が高まります。
まとめ
制作データ向けNASは「ベイ数・容量」「使いやすさ」「転送速度」「バックアップ機能」「サポート」で候補を絞ります。使いやすさ・定番ならSynology、拡張性・多機能ならQNAP、国産・国内サポートならBuffaloが候補です。必要容量と人数・速度に合わせ、二重バックアップの運用まで含めて選びましょう。制作PCや高速ストレージも検討するなら クリエイター向けBTO制作PC比較 もご覧ください。
出典:各製品の公式サイト(本文の各製品リンク先を参照)。仕様・価格は2026年9月時点で、変動する場合があります。